タスクID | T002 |
レベル | Lv.01 |
レベル目標 | 中国語の発音基礎について【理論】を理解し、【トレーニング】で身につけます。 (前半)→410音節表 (後半)→声調20パターン |
タスク目標 | Lv.01の目標・学習計画の【理論】理解 |
学習形式 | タスク教材を読む |
タスク完了想定時間 /1サイクル |
30分 |
推奨サイクル数 | 1 |
タスク教材 | PaoChaiオリジナルT002(本ページの以下で閲覧してください) |
タスク内容 (完了条件) |
タスク教材を読み、「Lv.01の目標・学習計画」の内容を十分に理解したら完了です。 ※腑に落ちないところがあれば、コーチに質問しましょう。 |
以下、「PaoChaiオリジナルT002 」の内容です。
- 1.Lv.01の目標・構成
- 2.学習のポイント
1.Lv.01の目標・構成
Lv.01では、「中国語の発音の基礎」(知識理解と技術習得)を徹底的に固めます。
1−1.「中国語独学完全マップ」全体像のおさらい
中長期的・短期的に何を目標に掲げ、今何をしているのかを意識することが効率的な中国語学習をする上で大切です。まずは、学習の到達点をおさらいします。
まず目指すべき到達点は、コア能力として日常語彙5,000程度を“話せる、聞ける”レベルで身につけることです。つまり、5,000語レベルの中国語音声について、どこからシャッフルで聞いてもリピーティング(「音読ジョグ」最終段階 の脳トレ)できる状態です。
全体の流れを説明します。
まず、Lv.01で発音の基礎(410音節表、声調20パターン)を徹底的に固めます。その後、Lv.02〜Lv.05で文法の基礎を固めます(※ここでは文レベルの発音にも取り組みます)。
その後、Lv.06〜最後のLv.20までは耳トレ、口トレ、脳トレの組み合わせである「音読ジョグ」トレーニングという意味を理解した中国語を沢山発話していく形式で、シンプルに成長実感を得ながら学習を進めます。
Lv.10(できればLv.15)に到達したら、徐々に「会話トレーニング」や「読書」「ドラマ鑑賞」など実践能力トレーニングをして、コア能力をより瞬発的な実践能力に変えていきます。
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Lv.01の発音基礎固めは、その後の学習の土台となる大変重要なものです。徹底してしっかりと学習しましょう。
【TIP】受講中は中国語ドラマを見よう!
受講中、余裕があれば中国ドラマ(or映画)を(中国語音声+日本語字幕で)鑑賞しましょう。こちらはタスク学習とは別で学習時間にはカウントされませんが、中国語を習得上でプラスになるのは間違いありません。現代をテーマにしたリアリティある作品を選ぶと良いでしょう。中国語のリズムや実際の使用場面を視覚と聴覚で体験でき、中国に留学や生活しているような経験ができます。中国の社会や文化についても理解でき、物語(ストーリー)も楽しめるので一石二鳥です。コーチにおすすめを聞いてみてください。
1−2.中国語、発音良ければ全てよし
著名な中国語教育者の相原茂先生も「中国語、発音良ければ全てよし 」というほど中国語において発音は重要です。
Lv.01の目標である「410音節表」と「声調20パターン」を上手に読むことができれば、中国語の発音の基礎は十分といえるでしょう。ここを確実に固めればその後の学習が飛躍的に楽になります。
1−3.Lv.01目標と構成
Lv.01の目標
Lv.01の目標は「410音節表」と「声調20パターン」を全て読めるようになることです。これを念頭に置いてタスク学習を進めましょう。
※ネイティブレベルを目指すわけではありません。しっかりと音や声調を区別し、伝わる発音を身につけるための基礎を固めます。数週間で方向性を固め、中長期的に中国語の音を安定して楽に発音できるようにします。
まず、前半で「410音節表」に取り組みます。そこにいたるまで、四声、単母音(基本)、複母音(複合母音)、鼻母音、子音、単母音(特殊)と段階的に知識と技術(実際に発音できる)を着実に身につけていきます。後半の目標は「声調20パターン」です。そこにいたるまで漢字、軽声・変調・アル化と段階的に身につけます。
Lv.01のタスク構成
- レベル:Lv.01
- タスク:T002〜T020の合計19個
- 合計学習時間:約22時間
- 学習方法:教材を読む、動画を見ることで発音についての知識を理解するタスクと、実際に声を出してトレーニングするタスクがあります。
- タスク教材:『日本人のための 中国語発音完全教本』+PaoChaiオリジナル教材
※タスクの一部の「参考情報」としてPaoChaiオリジナルの補足説明があります。タスク完了条件ではないので、参考までにご利用ください。
2.学習のポイント
2−1.中国語発音の予備知識
2−1−1.これから学ぶ中国語は「漢語」の「普通語」です
「中国語独学完全マップ」で学ぶ中国語は一般的に日本で「中国語」と言われているもので、「漢語」の「普通語」です。
2−1−2.漢語・普通語
- 中国は人口の90%以上を占める漢族と、その他にチワン族、モンゴル族やチベット族など約55の民族がいます。人口の大多数を占める漢族の言語を「漢語」として標準語に定めています。
- 漢語といっても広大な中国において、漢族は広範囲に居住し、方言も数多く存在しています。方言によって発音や語彙、文法は異なり、互いに自分の故郷の方言で話をする場合、意思疎通できません。
- そこで、中国政府は1955年に漢語の中で北京語音を標準音として定め、これを「普通語」として全国各地の共通言語としています。
2−1−3.簡体字
- 現在、中国大陸で使われている漢字は、中華人民共和国の建国後、識字率向上のため簡略化されたもので旧来の「繁体字(はんたいじ)」に対して「簡体字(かんたいじ)」と呼ばれています。
- 現在、旧来の繁体字は主に台湾と香港で、簡体字は主に中国大陸とシンガポールで使われています。
- 日本語で使われている漢字は繁体字と同じもの、簡体字と同じもの、さらにはどちらにも属さない和製漢字があります。
2−1−4.ピンインを身につけ、漢字、単語、語句、文章と発音できるようになろう
中国語は漢字のみで表される言語です。漢字の読み方には変化がほとんどないので、漢字を正確に発音できれば、単語、語句、さらに文章も正確に発音できることになります。
日本語では、漢字を読む「ふりがな」としてカタカナと平仮名が使われますが、中国語では「ピンイン」というローマ字で表される「発音記号」が使われます。
このピンインを読むことができれば、あらゆる漢字を読むことができます。そして、連続する漢字を読むことに慣れれば、複数の漢字から構成される単語、語句、文章も発音できるようになります
2−1−5.漢字の読み方は一つだけ
日本語の漢字は音読みや訓読みなどの読み方があり複雑です。
例えば、「生」という漢字は「生活」の「せい」、「生涯」の「しょう」、「生意気」の「なま」、「生い立ち」の「お」、「生む」の「う」、「生きる」の「い」など10以上の読み方があります。これは多くの外国人の日本語学習者にとって難しいものです。
一方、中国語の「生」の場合、読み方はsheng(第一声)という一つだけです。これは学習者にとって大変ありがたいことです。
※ただし、例外的に一部の字は「多音語」といい、意味や用法によって一字で複数の読み方を持ちます。例えば、「快 乐kuài lè 」と「yīn yuè音 乐」の「乐」は読み方が異なります。
2−1−6.1字1音節
日本語の場合、漢字の訓読みはほとんどが2音節以上から成り立っています。(ただし、音読みの場合はほとんどが1音節)
※ここで「音節」とは、ある言語で通常一まとまりの音として意識され、発音される単位を指します。
① 海(うみ)→2音節
② 山(やま)→2音節
③ 氷(こおり)→3音節
④ 諺(ことわざ)→4音節中国語の場合、漢字の読み方は1音節です。
① 海 hǎi
② 山 shān
③ 氷 bīng
④ 諺 yàn
日本語の場合、音節の種類は五十音に加え濁音や半濁音、拗音などを含めると100前後ですが、中国語の場合は約410の音があります。
2−2.ピンインの構造
中国語の漢字のふりがなともいえる「ピンイン」を構成する要素は以下の3つです。
- 子音
- 母音
- 声調
hǎi(海)を例にしてみると、
- h→子音
- ai→母音
- aの上にあるuのような記号→声調
- 隔音符号(’)
- 「a」「o」「e」の文字で始まる音節が他の音節の後に来るときは、区切りを明確にするために「’」(アポストロフィー=隔音符号)の記号を入れることがあります。例えば、「西安」の声調は Xi'anと書きます。隔音符号がないとxi anとなり、xianという1音節なのかxiとanの2音節なのか誤解が生じてしまいます。
2−2−1.子音
子音は21種類あります。子音とは「肺から出る空気を唇・歯・舌などで妨げて出す音」です。日本語でいうと「か(ka)」の「k」や「さ(sa)」の「s」です。
中国語の子音は必ず母音を伴って音節となり、子音同士が直接結びつくことはありません。
子音については、以下の1〜3はローマ字読みの感覚で少し注意をすれば上手に発音できます。4〜6はローマ字表記とは異なる感覚での発音が必要ですが、コツを理解すれば難しくありません。
子音(21種類)
- 唇音(しんおん) b,p,m,f
- 舌尖音(ぜっせんおん) d,t,n,l
- 舌根音(ぜっこんおん) g,k,h
- 舌面音(ぜつめんおん) j,q,x
- そり舌音(そりしたおん)zh,ch,sh,r
- 舌歯音(ぜっしおん)z,c,s
2−2−2.母音
母音は38種類あります。母音とは、「肺から出る空気を唇・歯・舌などで妨げずに出す音」です。日本語だと「あ」「い」「う」「え」「お」です。
多く見えますが基本は6種類の「単母音」が基本となります。あとは「特殊な単母音」が3つあり、その他は単母音の組み合わせである「複母音」か末尾にnやngがついた「鼻母音」です。
「基本の6種類の単母音」をまずは徹底して習得してください。ここが不安定だと単母音がベースとなる多くの母音に影響が出てしまいます。
母音(38種類)
- 単母音(9種類)
- 基本単母音(6種類)a, o, u, e, i, ü ←【重要】全ての母音の基礎
- 特殊単母音(3種類)er, (z,c,s)i, (zh,ch,sh)i
- 複母音(13種類)
- 二重母音 ai,ei,ao,ou,ia,ie,ua,uo,üe
- 三重母音 iao,iou,uai,uei
- 鼻母音(16種類)
- an, uan, ian, uan, ang, uang, iang
- in, ün, ing
- en, uen, eng, ueng
- ong, iong
2−2−3.声調
最後の「声調」とは、音節における音の上がり下がりです。声調は「第一声」から「第四声」までの4種類あり、「四声(しせい)」とも呼ばれます。次のタスクで詳しく学びます。
例えば、「hǎi」の音節を例にすると、
- 子音は「h」で、
- 母音は「ai」、
- 声調は「第三声」です。
※中国語の大多数の音節は、子音、母音、声調の3つの要素からできていますが、母音と声調の2つの要素から成り立つ音節もあります。
2−3.ピンインを効率的に身につける方法
ピンインには子音、母音、声調の3つ要素がありました。
このうち子音と母音の組み合わせは、日本語の母音(あいうえお)と子音(あかさたな…)の掛け合わせで作られる五十音図のように、中国語の音節表として整理されています。
※音節=通常一つのまとまりの音として意識され、発音される単位
中国語の場合、子音が21個と母音が38個もあるので、単純計算で約800もの組み合わせになります。
これで気が遠くなってしまいそうな学習者の方、ご安心ください。
実際には、この全ての組み合わせの音が存在するわけではなく、その約半分の410の組み合わせが実際の漢字の読みとして使われています。
また、そのうちの多くは日本人であれば少し気をつけてローマ字を読む感覚で読むだけで身につけることができます。
ワンポイントアドバイス①(「410音節表」マスターのために)
上述の通り、410音節表をスムーズに覚えるためには基本の単母音(6種類)a, o, u, e, i, üをまずはしっかり固めることが大事です。これができれば38個の母音は基本的にその6つの組み合わせとして身につけることができます。
以下の3点に気をつければスムーズに410音節表をマスターできます。
(1)単母音の発音が変わる
例えば、鼻母音のianは、基本の単母音i、a、とnの組み合わせに見えますが、この場合、前後の音の影響からaの音は、(a単独で発音する場合は「あ」に近い音ですが)「え」に近い音に変わります。eの音も、「enのe」と「engのe」の音は変わります。
(2)ピンインの綴りのルール
例えば、基本単母音のüは、子音がつかないとyuと綴ります。また、üは一部の子音がつく場合、上の点々が表記されません。例えばquanの中身はq + üanですが、üはuと表記されます。
他にも、複母音iouは子音がつくと真ん中のoが消え、例えばj + iou の場合jiuと綴るなど、変則的なピンインの表記があります。これを覚える必要があります。
(3)日本語にはない発音、日本語の常識と異なる綴り
zh,ch,sh,rの「そり舌音」は日本語に近い音はないので慣れるのに時間がかかるかもしれません。また、子音のqやcなどは日本語の常識とは異なり、それぞれqは「ち」の音、cは「つ」の音となります。日本語の常識で読んでしまわないように要注意です。
ワンポイントアドバイス②(「前よりの音」と「後ろよりの音」)
母音と子音には、各々唇などを使って口の前の方で発音する「前よりの音」と、奥の方で発音する「後ろよりの音」があります。発音するとき、意識してみましょう。
前よりの音(母音)
- i(yi)
- ü(yu)
前よりの音(子音)
- 唇音(しんおん) b,p,m,f
- 舌尖音(ぜっせんおん) d,t,n,l
- 舌面音(ぜつめんおん) j,q,x
- そり舌音(そりしたおん)zh,ch,sh,r
- 舌歯音(ぜっしおん)z,c,s
後ろよりの音(母音)
- a
- o
- e
- u(wu) ※uは後ろよりです!
後ろよりの音(子音)
- 舌根音(ぜっこんおん) g,k,h
2−4.声調20パターンを効率的に身につける方法
声調20パターンは、20パターンを一気に身につけることがポイントです。一気に全てを学ぶことで違いが明確になります。少しづつではなく、短い期間で一気に20パターンを集中して身につけましょう。
最後に:ネイティブ音声の音真似 > 知識
ネイティブの音声を繰り返し聴いて、真似しましょう。Lv.01とLv.02では発音の仕方を(日本人の大人が学習しやすいように)【理論】として理解し、“発音できる”ようになるように【トレーニング】します。
発音の仕方を知識で学ぶことで効率的な学習ができますが、一方で言語化された知識では伝えきれない部分もあります。
理想的には、子供が言語を身につけるように、ネイティブの音声を何回も聴いて音真似して同じ発音を出すことですが、それでは(一般的には)時間がかかりすぎてしまいます。大人が中国語を学ぶ場合は、理論的な学習と組み合わせると効率的です。
この2つの事実を理解した上で学習を進めましょう。つまり、【理論】を活用し効率的に学習する一方で、学習者が本当に目指すべきは、言語化できない(教科書などに書かれていない)「ネイティブの音声」であることです。そのために、ネイティブの音声を沢山聴いて真似してください。
以上です。